シリコン製のボールペン

腐れ作家の芥話

ベランダの隅に巣くうゴミムシ

「すごいネガティブでしょ。どうせ今日も家帰って落ち込むんでしょ?」

自宅への帰り道の電車にて知人に言われた一言。24年生きてきましたが、ここまでド直球で確信をつく一言を言われたのは初めてかもしれません。的を射すぎて隣に立っていた酔っ払いのおっさんやバイト終わりの大学生、果ては乗っていた東京メトロまでもを突き抜けて、弾道ミサイルの如く東の空へと勢いよく飛んで行ったことかと思います。

 

とにかく僕は物事をとにかく「悪い方向」に考えてしまう性格でして、毎日家を出る際には「今日はこんな死に方をするんじゃないだろうか?」と自分の死に方のネタ出しを頭の中でしてしまっています。とにかく余計なことを「考えすぎてしまう」性格のようで、会話の中のちょっとした発言や、何気ない表情を凄く悪い方向に考えてしまい、家に帰って勝手に落ち込んでいる毎日です。そのくせ、大事なことには気が回らなくて粗相をしてしまったり、失礼なことを言ってしまったりと・・・そしてまた家に帰って勝手に落ち込む。ネガティブの永久機関のような人間です。これを上手くエネルギーに変換できる技術を生み出せばノーベル賞くらい取れそうな気もします。

 

そんな時はいつも自宅のベランダの隅に行って肺がこそぎ取れるほどタバコを吸いまくるのが日課です。うちのベランダは取り込み忘れて放置された同居人たちの衣服などが散乱するお手軽スラム街のような汚れた場所でして、そこに行くと普段の生活から乖離してとことんまで落ち切った気持ちになれるので、「俺はお前たちとは違うんや!夢も未来もある若者なんや!」とゴミ達に向かって虚勢を張ってまた明日からも頑張ろうという気持ちになれるのです。

 

そんなベランダに最近頻繁にゴキちゃんが姿を見せるようになりました。同居人たちはまだ1度も見たことがないらしく、僕にだけ姿を見せに来てくれてるのかと思うと、ほんのり嬉しい気持ちになりながらも、クラスで全く目立たず友達もいない根暗が、同じような同類を見つけてあたかも友達であるかのような空気を醸し出して行く先々に着いて来ようとするのと同じ気分になり、「あほか!俺は友達もおんねん!お前みたいな気持ち悪い奴と一緒にすんな!」と叩き潰しています。それでもゴキちゃんは姿を頻繁に表します。恐らく僕はゴキブリホイホイの才能があるようです。仕事に困ったらアース製薬にでも就職しよかな思います。

 

まぁでも、滅茶苦茶ネガティブかと言うとそこまででもない思うんですよね。結構楽観的ですし、考えすぎるといいつつ抜けてるとこありまくりですし、不利な状況の時だけネガティブを盾にしてやりすごしてる感じですね。「都合のいいネガティブ」です。

正直、治るとも思えないです。「三つ子の魂百まで」とも言いますし、これからも僕は「ネガティブ」をうまく使いこなして生きていくことでしょう。こうなったら開き直ってやろうと思います。・・あ、少しポジティブになれたかも。

こんな感じでこれからもたくさんの人に迷惑かけながら生きていくと思いますので、ネガティブ共々よろしくお願い致します。

 

ブログを書き終えたら今夜も定位置のベランダの隅でニコチンとタールの土石流に肺を侵されながら、星1つない夜空を見上げることでしょう。どす黒い夜空には、あの夜知人に射抜かれたあの言葉がハレー彗星のように放射を描きながら東の空へと消えていくのでしょう。